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「じゃあ、俺も行く」
「えっ、付いてきてくれるんですか??」
「金払わなきゃいけねぇだろ」
「?2人暮らしだし、半分お金払います!」
家も住まわさせてもらっちゃうしね……。しかもこんな豪邸。
家賃ゼロってだけでも、信じられないのに。
けれど、真田は少し驚いた顔をしてから、綺麗に微笑んだ。
慣れないその表情に、私の心臓が跳ねた。
「……やっぱりお前、気に入った」
「へっ?」
口元で呟かれた言葉は、小さすぎて聞こえなかった。
けれど、言い直してくれる気はないらしく、話題はすり替わった。
「これからこの家の家事、お前がやれ。それでいい」
「えぇっ、そんな……」
「俺が良いって言ってんだ。素直におごられとけ……な?」
「あ、ありがとうございます……」
おう、と笑うとまた頭を撫でられる。
心地よさに、目をつむってしまいそうだった。
でも、跳ねる心臓は、なぜかまだ落ち着きそうにない。
私は、この動悸の意味をまだ知らない。
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