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「先に寝とけ、って言われても……」
私は、目の前の真っ白なシーツの引かれたベッドに倒れ込んだ。
程よいスプリングに、体が軽く跳ね返される。
「あ、あの人の匂いだ……」
甘いような、優しい匂い。
「って、私は変態か!!」
なんて突っ込みを入れてみても、空気と一緒に溶け込んでしまった。
言いようのない、虚無感。
あぁ、私……。早くもホームシックかもしれない……。
自覚してしまえば、寂しさが、胸を突き破るようにして溢れ出てきた。
どうしよう……。私、寂しい……。
ポロポロと、真っ白なシーツにシミを作ってしまった。慌てて、撫でれど消える事はない。
その時、この部屋から近くのお風呂場から、物音がした。
どうやら、上がってきたらしい。
しかし、足音はこの部屋を通過して、約束通りリビングに向かったようだ。
耳を澄ましていたため、物音がなくなれば、先ほどよりも、もっと静寂になった気がした。
静寂は、益々の寂しさを呼んだ。
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