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その時だった。
ガチャリと音がした。ドアだ。ドアが開いた。真田は寝ているはず……、では誰!?
瞬時に、脳内を嫌な思考が巡り、とっさに小さな悲鳴が上がる。
「いやっ!!」
「……おい、大丈夫か」
低い声が、私の悲鳴に被さった。そして、体に温かなぬくもり。
「は……っ、え?」
「やっぱりな……」
溜め息混じりの声と同時に、視界が開けた。急な明るさに目を瞑る。
ゆっくり目を上げれば、肩から伸びる、手。
手?!
「え、ちょ……っ!えぇっ?」
「落ち着け」
ゆっくりと、体が離された。慌てて振り返ると、お約束、真田がいた。
「あのな……、やっぱこっちで寝て良いか?」
「え、あ……、はい」
「ありがとな。じゃ、寝るぞ」
そう言うと、明かりが消え、また暗闇の世界に戻った。でも、さっきと違う事は、隣りに人がいるという事。
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