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「まぁ、乗れよ」
ドアを開け、俺は呼びかけた。
しかし、
「うー……」
ドアの前で唸るだけ。なんだ、こいつ?
「何してんだ?早く乗れ」
せかすと困ったように
「だって!汚したらどーすんですか!こんな高級車怖くて乗れないし……」
こう言った。普通なら俺が言う前に乗りやがる奴ばっかなのにな……。というか、あんだけ乗りたそうな顔してたのに。
変な奴だ。
そう思い、しばらく観察していたが、乗る様子がないらしく、未だまごまごしている。
そんな姿を見てるのは、嫌いじゃないが、何分腹の虫がそれを許さない。仕方なく俺は車を蹴った。
「何してんですか!!?」
おっ、予想通りの反応だな……。大きな目をさらに大きくさせて、驚いた。
「別に車は汚れるもんだ。傷も、つけまいと思えどついてしまう。だから、お前が気にする事じゃないし、俺も気にしない。……だから、乗れよ」
別に車が要らない訳でない。けどこいつなら別に、汚されても構わない。傷をつけられても、構わないと思ったんだ。
だって、お前はそんな事しないだろう……?
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