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仕方なしに、俺はソファーから立ち上がった。テーブルの上に置きっぱなしのキーを手に取り、汚いキッチンに足を向けた。
買い物は近くのスーパーに行った。最近出来たばかりの大型店舗で、なかなか充実していた。
商品は一つ一つの品揃えが豊富。専門店にしか売っていないような物まで、陳列してある。
なるほど、一度来ただけでは、全体を把握出来ないのがここの売りか。
職業上、そういう事ばかり考えしまう。それに、俺一人だと何買って良いか解らず、とりあえず牛乳ばっか買ってしまうからな……。
やっぱ家庭を知ってる奴は違う。さくさくと、カートに商品が入れられていく。
からかって、要らない物までカートに入れれば、「返してきて下さい」の一刀両断。
その反応が楽しくて、ついたくさん買ってしまった。
最後の方は、あきらめた様子で、もう何も言わなくなった。
家に帰り、手際良く買った物をしまう。その工程は、鮮やかだった。全てしまえたのか、早速料理に取りかかった。
意識が遠のく中で、野菜を切る音、何かを炒める音、洗う音、色んな音が耳に入ってきた。
俺は言いようのない安堵感を感じていた。
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