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俺はもともと耳が良い。失礼な奴が、いつか「動物だもんね」と笑っていた。
それはさて置き、寝室は防音になっているが、耳を澄ませば、やはり少し鼻を啜る音が聞こえる。
あいつだ。
俺は何を考えるよりも前に立ち上がっていた。
そりゃそうだよな。
急に知らない場所に連れてこられて、寂しくない訳がない。
俺はさっき通り過ぎたドアの前にとまり、それを躊躇なく開けた。
やはりそこには、ベッドの上で小さくなっている努杜がいた。
俺は驚いた努杜を後ろから抱きしめた。すると、小さな叫び声を漏らす。
やっぱりな……
俺はリモコンを手に取り、部屋の電気をつけた。まだ状況が把握出来てないこいつに落ち着くように、宥める。
俺だとわかったようで、静かになったため、ゆっくりと離れた。
努杜が正面を向けば、やはり大きな目には涙が溜まっていた。
その瞬間、嫌に心臓が跳ねた。
しかしそれを無視して涙を拭ってやる。その後、一緒に寝て良いか?と聞けばすぐに返事は返ってきた。
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