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無自覚ほど、恐ろしいものはない。
と、俺はこの女を目の前にして定義を確立させた。
「……おい努杜、起きろ。お前、良い歳した女がそんな格好で寝てんな」
か細い肩を揺らしながら、俺は健やかな寝息を立てるこいつを起こしにかかる。
それでも努杜は、眉を歪ませただけで起きる気配がない。
何だコレ、……俺まさか、試されてるのか?
風呂上がりのキャミソールのままソファーで寝る女に、疑いを抱く。
無防備にも程がある。
俺にその気がないとしても、こんな格好を男と2人の一つ屋根の下で暮らしていて晒して良いものではない。
大切なので、二度言おう。
俺にその気はないのだが。
「……おい、起きろって」
しきり直して、肩を揺らすが今度は眉さえ、動かさなくなった。
どうしてこいつは、こんな所でそんなに爆睡出来るんだ。
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