無自覚な女

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俺は溜め息を吐くと、ソファーの前に座り込んだ。 テーブルに置いてあった赤マルの箱から1本取り出すと、それに火を付けた。 そしてニコチンを肺にいれると、長い紫煙を吐き出した。 粋がってガキの頃から吸っていたこれは、もう中毒に近い。 「……んっ、ん……」 紫煙が部屋に充満しだした時だった。 後ろから微かな唸り声が聞こえ、俺は振り返った。 そこには先ほどと変わらず、クッションを枕にして無防備眠る努杜。 と、少し違うのはうざったそうに腕で鼻を覆っていた事。 俺は先ほどの健やかな寝顔を思い出し、灰皿にまだ長い煙草を押し付けた。 近場のリモコンを取り、天井に向けて電波を飛ばせば、天井のファンが回り始めた。 寝ている時は素直らしい努杜は鼻を覆っていた腕を退けた。 その寝顔にうざったさはない。  
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