無自覚な女

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言われる事はなかったが、煙草の煙を嫌がる奴は居る。 と、俺は気付かされた。 何がそんなに幸せなのか分からないが、すやすやと眠る努杜をみて俺は、煙草の箱をゴミ箱に投げ入れた。 ふと「禁煙してみよう」と思ったのだ。 この前や今日、見せられたこの幸せそうな寝顔がまた見れるなら。 突発的な思い付きが、一拍置いて俺に疑念を抱かせる。 何故、俺は寝顔なんか見たいと思ったんだ……? そもそも、俺が禁煙して何になる……? いや、それ以前にこの生ぬるい感情は、この質量を持った感情は何だ……? 俺の疑問を馬鹿にするかのように眠るこいつを見て、俺は考える事を止めた。 それより先に、こいつをベッドに連れて行ってやらなきゃならない。 風邪を引かれては困る。  
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