すい-とびた-

真田社長

｢ちょっと、書斎に行ってパソコンの上に青色のケースに入ったディスクが置いてあるか見てくれ｣

少し急ぎ気味に話す真田に指示を出され私は、書斎まで走る。

寝室の隣に設けられたその部屋は、見たこと無い本が、整然として並べられている。

その真ん中に、堂々と置かれた黒のデスクの上に、パソコン。確かに、電話の通り、キーボードの上に青色のディスクがあった。

私はそれを手に取る。

｢あったよ!｣

達筆で"企画書"と題されたディスクだった。え、これって、物凄く大事なものなんじゃ……。

｢それを社まで持って来てくれ｣

｢え、いいけど……、私真田さんの会社知らないよ?｣

｢……タクシーで"SANADAビル"つったら解るから。とりあえず急ぎで頼むな、じゃ｣

そんな、観光名所じゃあるまいし……、と言おうとしたが、無情にも電話は切れてしまった。