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私は、立派にスーツを着こなす男性に紛れて、とうとうビルに足を踏み入れた。
受け付けと思われる所には、芸能人を思わすくらい綺麗な女の人がおしゃれな制服を着こなし、そこに立っていた。
外見からして、こんな場所に不釣り合いな私は好奇の目に当てられる。
でも、そんな事を気にしている場合じゃないのだ。
「……あの、真田さんいます?」
私は拳を握り、話しかけた。
「……社長、ですか?」
受付嬢は、物凄く怪訝そうな目で私を上から下まで見回した。
まぁ、当たり前なんだけどね。けど、その品定めするみたいな視線は、ちょっと傷つく。
「……社長かは解んないですけど真田新さんです」
「社長ですね……」
どうやら、あの真田は本当にここの社長らしいのだ。いや、感心してる場合じゃない!
「とりあえず頼まれ物を持って来たんですけど……」
「申し訳ありませんがそういった方はお帰り頂いております」
「えぇっ?」
あからさまに敵対心剥き出しの口調で、門前払い。
思わず、私は大きな声を出してしまった。
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