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しかし、腕を簡単に掴まれ、私の足は止まった。
「ちょっと待て。せっかく来たんだ。茶でも淹れてやるから俺に着いて来い」
掴んだ主は、離す気はないらしく、命令口調で私を止める。
こんな所、めったに来れるわけじゃないしね……。
「……ありがとう」
せっかくの親切を無駄にしちゃ悪いしね……。
抵抗する事を止め、素直に自分の好奇心と真田に従う事にした。
「あ、あのっ!」
「?」
エレベーターに乗ろうとした時、大きなエントランスに受付嬢さんの声が響いて、私達は足を止めた。
「分かった気がします。さっきはすみませんでした」
「?……こちらこそ、目上の方なのに、弁えず、すみませんでした」
何を分かったのか理解出来なかったが、自分にも非があったため、とりあえず頭を下げといた。
真田を見ると満足げに笑っていた。
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