真田社長

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またも、ガラス張りのエレベーターに乗り込むと、長い指がボタンを押した。 「お前すごいな……」 「は?」 急なお褒めのお言葉に、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。 だって、褒められる事自体、何故か分からないんだもん。 まさか、ちゃんとここまで来れた事とかじゃ、ないよね? 私は真田の二の句が次がれるのを待った。 「……いや?さすが俺の認めた女だなって」 ひっそりとした声と同時に、エレベーターの軽快な音が被さった。 「え?何……?」 「何でも。さ、降りるぞ」 エレベーターのドアがスムーズに開いた。真田が「開く」のボタンを押したまま、私に先に出るよう促した。 初めて踏んだ、会社という所の床はカーペットで、初めて見たものは 「お疲れさまだ……」 鬼のように食い入って、画面を見ながらキーボードを打ちつけている人たちだった。 やっぱ、働くのって大変なんだ……、と痛感した。 「こいつらは俺の直属の部下、この会社の精鋭達だ。……一応な」 確かに、数人しかいないけど……、最後の「一応」は余計じゃない?と聞こうとしたが、止めた。  
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