13882人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
またも、ガラス張りのエレベーターに乗り込むと、長い指がボタンを押した。
「お前すごいな……」
「は?」
急なお褒めのお言葉に、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
だって、褒められる事自体、何故か分からないんだもん。
まさか、ちゃんとここまで来れた事とかじゃ、ないよね?
私は真田の二の句が次がれるのを待った。
「……いや?さすが俺の認めた女だなって」
ひっそりとした声と同時に、エレベーターの軽快な音が被さった。
「え?何……?」
「何でも。さ、降りるぞ」
エレベーターのドアがスムーズに開いた。真田が「開く」のボタンを押したまま、私に先に出るよう促した。
初めて踏んだ、会社という所の床はカーペットで、初めて見たものは
「お疲れさまだ……」
鬼のように食い入って、画面を見ながらキーボードを打ちつけている人たちだった。
やっぱ、働くのって大変なんだ……、と痛感した。
「こいつらは俺の直属の部下、この会社の精鋭達だ。……一応な」
確かに、数人しかいないけど……、最後の「一応」は余計じゃない?と聞こうとしたが、止めた。
最初のコメントを投稿しよう!