13882人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
「お前らは社食でじゅーぶんだ。何のためにホテルのシェフ雇ってると思ってる。分かったら、早く行ってこい」
それなのに、真田はしっしと野良犬を払うように、部下の人達をあしらった。
というか、ここの会社、社食にホテルのシェフとか雇っちゃうの?
うちの学食のおばちゃんが作る料理も逸品だよ!?
驚く私をよそに、皆さんはむすーっと表情を曇らせる。
「いーじゃないですか!雛ちゃんの手作り、俺食いたいですもん!」
わぁ、健吾さん良い人だなぁ!私なんかの料理を食べたいだなんて!
それに続き、うさみさんも真田に応戦する。
「そうですよー。それに毎日毎日、どこ産の何々を使いました、なんて表記要らないですよ。何の自慢ですか、コノヤロー」
いや、それは結構重要かと……。というか、美人さんが「コノヤロー」とか言っちゃだめですよ!!
火花が散る、この3人の間で私はあたふた。喜んだり、突っ込んだりとなかなか多忙だ。
「……グチグチうるせぇ奴らだな。こいつの飯は俺が食う。お前らなんかに食わすもんはねぇよ」
「これっぽっちな」と言いながら、ジェスチャーしてみせる。
オッケーに近い形で。……間空いてないよね、それ。
「いっぱい作るよ!真田さんが食べきれないぐらい」
「社長、雛ちゃんもこう言ってくれてるし!」
優人さんが、私の肩に手を乗っけながら、落ち着いた声で言った。
最初のコメントを投稿しよう!