真田社長

20/29

13882人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
「お前らは社食でじゅーぶんだ。何のためにホテルのシェフ雇ってると思ってる。分かったら、早く行ってこい」 それなのに、真田はしっしと野良犬を払うように、部下の人達をあしらった。 というか、ここの会社、社食にホテルのシェフとか雇っちゃうの? うちの学食のおばちゃんが作る料理も逸品だよ!? 驚く私をよそに、皆さんはむすーっと表情を曇らせる。 「いーじゃないですか!雛ちゃんの手作り、俺食いたいですもん!」 わぁ、健吾さん良い人だなぁ!私なんかの料理を食べたいだなんて! それに続き、うさみさんも真田に応戦する。 「そうですよー。それに毎日毎日、どこ産の何々を使いました、なんて表記要らないですよ。何の自慢ですか、コノヤロー」 いや、それは結構重要かと……。というか、美人さんが「コノヤロー」とか言っちゃだめですよ!! 火花が散る、この3人の間で私はあたふた。喜んだり、突っ込んだりとなかなか多忙だ。 「……グチグチうるせぇ奴らだな。こいつの飯は俺が食う。お前らなんかに食わすもんはねぇよ」 「これっぽっちな」と言いながら、ジェスチャーしてみせる。 オッケーに近い形で。……間空いてないよね、それ。 「いっぱい作るよ!真田さんが食べきれないぐらい」 「社長、雛ちゃんもこう言ってくれてるし!」 優人さんが、私の肩に手を乗っけながら、落ち着いた声で言った。  
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13882人が本棚に入れています
本棚に追加