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乳白色の壁紙が続く廊下は依然として静かなまま。
寮生のほとんどは今頃、部活に勤しんでいるんだろう。
皆が帰宅するのはまだまだ先の事だ。
俺の部屋は寮の一階の一番端。
他の部屋より少しだけ広いのがちょっとだけ自慢だ。
日当たりは良好、昼寝にはもってこいの南窓。太陽の光の有り難さを嫌と言うほど実感出来る。
俺は背伸びして入り口のドアの上にある凹みに左腕を伸ばす。
すると、ひやりと手に金属が触れるのがわかる。
そして、いつもの隠し場所からマイルームキーを取り戻し、鍵穴に差し込む。
少し錆びているのか回すのにしばしば一苦労する。
「ちっ……相変わらず硬いな」
鈍い音を起てて鍵が開いた。
なぜこの春日寮の鍵はどれも古く錆びかけてるんだ。
いちいち気合い入れて鍵を開けるこっちの身にもなって欲しいもんだ。
いい加減買い替えろよ。
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