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もう一度、寝真似をしている夏子さんに近付き、耳元で名前を呼ぶ。
「おーい、夏子さーん」
「……すぅー……すぅー」
やっぱり寝てる、よな。……寝真似じゃないのか。
「おーい、年増起き……ッ痛!」
またも的確な裏拳が鼻にクリーンヒットした。
もはや、この人が寝てるのか寝てないのか全くわかりません。
鼻血は出てない。でも、これ以上夏子さんを起こそうと試みれば確実に俺の鼻が悲鳴を挙げる事になるだろう。
てか、既にダメージは限界。
任務は放棄するしかない。
とりあえず風邪でもひかれて、八つ当たりされるのも困るので、適当な毛布を持って来て、肩からそっと掛けてやる。
だけど、心配だからそっと掛けたんじゃない。
またいつ拳が飛んできて殴られるかわからない。だから、慎重に拳の動きを窺いながら毛布を掛けただけの事。
幸い拳は動かず、無事毛布を掛けてやる事が出来た。
まぁ、一日くらい風呂も風呂掃除も無しでも大丈夫だろ。
文句を付けられるのは明日にお預けだ。
明かりを消し、相変わらずイビキをかく夏子さんをそのまま放置して、俺は部屋をあとにした。
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