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「なんかすげぇ疲れた……」
鼻をさすりながら、ため息を吐き、部屋に戻る。
部屋の前まで来ると、中から大きな物音が聞こえてきた。
いや、そんなに大きな音じゃなかったかもしれないが、夜中の静かな廊下にそれは良く響いた。
というか、何故誰も居ない筈の俺の部屋から物音がするんだ?
「もしや……泥棒……? 猫……じゃないよな?」
こんな学生寮、しかも男子寮に泥棒?
……ありえん。何を盗むっつーんだ。
俺のパンツか? 冷蔵庫の賞味期限切れのコンビニ弁当の残りか?
なんにせよ、俺の部屋に何者かがいる気配がする。
やっぱり猫か?
もしドアを開けて、ナイフを持った奴が居れば、そこで俺の人生は終了。
ナイフを持った猫ならあるいは……。
恐る恐るドアノブに手を掛け、ゆっくりと部屋へと続く扉を開けた。
扉の隙間からは夜風が流れ出て俺の前髪を煩わしく靡かせた。
薄暗い部屋の中にじっと目を凝らす。
明かりの点いてない部屋の中、俺のベットの上には一人の少女が立っていた。
南の窓は開きっ放しになっていて、朧げな月の光が差し込み、部屋を淡く照らしている。
辺りは薄暗く、はっきりと少女の顔を把握する事は出来ない。
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