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教室の一番後ろの角の席に座り、どこか上の空で外を眺める。
虚ろな視線はふらふらと青い空を漂い、ぐるぐると視界は回る。
なんの味気も無い生活の中、毎日単調に学校に通う。ただその繰り返し。
学力は底辺。授業態度は悪い。身嗜みも校風にそぐうものだとは言えないだろう。
只今、十六歳の高校二年生。
俺は有象無象にすら見離された存在。
外を眺めれば、晴れ渡る青空を軽やかに流れていく雲が世の中の無情さを表しているかのようだ。
教壇では頭が、おでこの両端からはげ上がり出した、所謂M禿凛々しい中年真っ盛り、加齢臭真っ盛りの数学教師が教鞭を振るい、声を奮い必死に授業を繰り広げる。
まぁ、そんな事は俺の知ったことじゃない。
今更、真面目に授業を聞き出したところで後の祭。
基礎が皆無な俺に理解出来る筈も無い。
溜息混じりにまた窓の外に目をやる。
元気な一年生男子供が活発に体育の授業であるサッカーを繰り広げている風景。
ヘイヘイと元気な声がグランドに木霊する。楽しそうな笑顔。グランドを所狭しとばかりに走り回っている。
しばし虚ろな眼差しでその様子を眺めていた。
舌打ち一つ、視線を教室内へと戻す。
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