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「なんだ城山? 授業に文句でもあるのか?」
M禿が苛立ちを隠せないような低い声をあげる。
「は? べつにねぇーっすよ……いちいちうざいですね」
睨むように目をすっとすぼめM禿を見据える。
「ちっ……これだから不良は嫌なんだ……」
ぶつぶつと苛立ちを表にし、チョークを荒々しく黒板にかなぐりつける。
ただ荒々しくチョークが黒板に擦りつけられる音だけが教室に響く。
周りのクラスメート達は顔を俯けたままノートに視線を落とす。
ああ、皆迷惑かけてすまないな。
ま、べつにそんな事思っちゃいないけど。
俺はする事も無く、ただただ顔を俯せ腕を枕に眠ろうと試みた。
五月の春の陽気さえもが暑苦しい。
中々眠れぬ苛立ちからか、はたまた自分への苛立ちからなのか、俯せた俺は無意識の内に唇を噛みしめたまま授業が終わるのを待っていた。
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