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「べつに俺、いっつも早退なんてしませんって。それより、洗濯物っすか? 良ければ中に入れんの手伝いますよ?」
「まぁ、優太はそーやって私のポイント上げて何を狙ってるのかな? ダメよ。私と優太じゃあ歳が違い過ぎるもの。世間の波風がたっちゃう……。あぁ……許されざる禁断の寮長と寮生の愛、たまらんわー」
夏子さんは額に手を置き、まるで劇団の悲劇のヒロインの如く芝居を繰り広げる。
やれやれと俺は溜息混じりに手伝ってやろうなんて思った事を後悔し、寮の中へ入ろうとする。
すると、ガシッと肩を掴まれた。
「何処へ行くのかな? 今、手伝いますって言ったよね? 嘘を言う男の子は嫌いだなー」
感情の乏しい声が背後から聞こえ、思わず身震いしてしまう。
肩を掴む力はだんだんと強くなりミシミシと音を起てている。
「手伝いますから、とりあえず左肩を砕かんとばかりに掴む力を緩めてくれません?」
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