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「戻って来たら知らない女の子が居てさぁ…。」
急に声が聞こえて、私は目をゆっくり開けた。
「空き巣?」
「や、ストーカー?」
目の前のドアから声が聞こえる。
そこは見覚えのある、さっきまで居た透馬の部屋だった。
今度はソファの後ろで、へたり込んでいた。
吐き気がする。不安でまた体が震え出す。
瞬間移動…。
「ケーサツには?」
「謝って帰ったし、また来たら通報するよ。」
ドアの中から聞こえるのは透馬の声。間違えるハズがない。
「ストーカーに甘くしてどうする…。」
ソファに座ってる人が呆れながら呟く。
背もたれを挟んで直ぐ隣に居るその人の声がハッキリ聞こえる。
私には気付いていない。
怖くて顔が上げられない。立ち上がれない。
警察に捕まったら、とりあえず家に帰れるだろうけど…。この現象は自分だって分からないのに、他人に説明することは出来ないだろうから…。
ということは私はストーカー女として前科持ちになる?!
考えていると泣きそうになる。
でも涙は流れなかった。
瞬間移動が出来るようになったのなら、この部屋から出して!自分ちに戻りたい!神様っ!
蹲ってじっと念じてみた。
帰りたい!嫌われたくないよぉ…。
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