侵入者

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「よし、着た。」 全然透馬の声が聞こえる。 「久し振りに着たからキチッとし過ぎてて気持ち悪いー…。」 着替えていたらしく、スーツの透馬がドアから出てきた。 神様のバカァッ!! 喉が詰まって呼吸が出来ない。透馬は開けてすぐ私に気付いて、さっきみたいに一歩下がった。 「…どうやって入って来んだよ。」 透馬はため息混じりに呟いた。 「どうした?」 透馬の呟きに気付いた話相手が聞く。 「ストーカー、また来た。」 透馬は私を指差した。 「…後ろ?」 自分が座っているソファの後ろを差されて、話相手はソファから離れたようだった。 「お前鍵閉めなかったの?」 「閉めたよ…。」 「つーか何で気付かないワケ?まぁ、警察電話しといて。俺まず便所。」 透馬は板チョコドアから出て行った。 言われた話相手はソファの背もたれからゆっくり身を乗り出し、こちらを覗く。 私はその顔を見上げた。 基絋だ。 この服装はさっきエレベーターですれ違った人。 基絋は冷たくこっちを見たが、目は合った気がしない。 イメージと一緒で凍りそうな顔をしていた。
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