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基絋はため息を吐いてソファに座り直し、後は警察に通報することはなく、更には一度もこっちを気にすることもしなかった。
私…どうなるんだろう…。不安で…不安で…。
不安を誤魔化すことが出来ない…。
思考に余裕がない。不安で溢れそう。
少しして透馬が戻って来て、まず私を見た。
「透馬、お前怖いよ。」
基絋が呆れて溜め息混じりに言った。
「何で。普通怒るだろ?」
透馬は私を見ながら言う。
「勝手に人ん家に入って。犯罪だよ?」
私に言ってる。
怖くて“ごめんなさい”が口から出ない。
「つーか逆に優しい方だと思うんだけど。」
自分の事を弁護してくれそうな基絋より透馬の言っている事の方が共感できて、そうだなぁって頷いてしまう。
「そういう怖いじゃなくて。」
基絋は、また私の方を覗く。
「誰も居ないじゃん。お前、俺をからかってる?」
基絋は鼻で笑って言う。
私はビックリして基絋を見上げた。
基絋はこっちを見ていたが、さっき感じたように目は合っていない。
何…?見えないってこと?
表情のない基紘の目が私を通り過ぎている。
こういう庇い方?とも思った。
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