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透馬は目を見開いたまま、私から目を離さずゆっくり近付く。
膝をついて私に恐々手を伸ばす。
「なんだこれ…。」
透馬の震える手は私の顎を通り過ぎた。
私は青ざめた。
確実に今、私の体は実体が無い。
床についた手に力を入れるとスルスルと床に入って行く。
実感し、理解した。
私はユーレイだ…。
怖くなって、体が震え、泣きそうになった。
不安で、すがる気持ちで透馬を見た。
透馬はハッとし、すぐ目をそらして立ち上がり、ソファに戻る。
「疲れてるんだよね、俺。そだね。幻が…。」
「大丈夫かよ。」
基絋が言ってソファに座り直した。
二人の空気が私を弾いた。透馬は私を無いものとして扱おうとしていることが解った。
無視しないで。怖いのに…。
二人はその後、何も言わず、基絋は雑誌を見て、透馬はTVを見ながら、時々チラリと私が見えるのを確認したりした。
私はこれからどーなるんだろう。
泣きそうになる。
何でユーレイ?昨日寝て……突然死?心不全ってやつ?!やっ私まだ若いのに!!
あ……夢…?
悪夢だ。
目を覚まして!
怖いよぉ…。神様ぁ…!
どうしてこんなに怖いの!?
夢だって分かったのにっ…夢で透馬に会えたのに。
不安で堪らない。
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