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-…チャ-
此処が、自分の居るべき部屋じゃないと気付いた時、板チョコのドアが開く。
ドアの正面で緊張して固まってしまう。隠れることも思いつかない。
「!」
ドアを開けた人は開けた瞬間に私に気付き、驚いて一歩身を退いた。
ドアノブは握ったまま、私を見た。
私が危険な行動に出たら…ドアを閉めて逃げる準備態勢。
私は私で、すぐにその人が誰だか分かって、入って来たその人以上に驚き、呼吸を止めた。
頭の中で連呼する。
透馬…透馬…透馬…?透馬?!
「君、何…。」
透馬は眉間を寄せ、低い声で私に聞く。
私は泣いてしまいそうだった。
自分だってワケの分からないこの状況で透馬に軽蔑の目を向けられて、怒られ、嫌われる。
恐くて体も喉まで震えた。
「誰だよ…。」
透馬は私が害は及ぼさないと判断したのか、今度は呆れたように額を押さえ強気に怒っている。
私が答えられないでいると
「出てって。」
と私を睨み、玄関の方を顎で差した。
「ごめんなさい…。」
その言葉をようやく出して、透馬の方、チョコドアへゆっくり足を進めた。
変なことをしないか、見張っている透馬の視線が私から離れない。
私は下を向いて、恐くて透馬を見たいとも思えなかった。
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