侵入者

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透馬の前を通り過ぎ、廊下を静かに進んで玄関に立つ。 靴が無い。 私は裸足で途方に暮れる。 私はどうやって此処に? 止まっていると、苛立った透馬が私に近づく。 恐くて固まって目をつぶる。 透馬の足音が怒っている。 「早く出てって。」 怒鳴り出しそうな声。 目を開けると、私を通り過ぎ透馬は私の目の前の玄関のドアを開けていた。 私は玄関に裸足で降りた。 石だと思われる玄関の黒い床は不思議と冷たくなかった。 砂粒さえ感じられず、滑らかで、何も触れていないんじゃないかって思うほど。 その感触は玄関の外も同じだった。 玄関から一歩出ると、すぐに透馬は大きな音を立てて玄関を閉めた。 閉まる勢いで出来た風に押されそうになる程強く閉められた。 閉めたと同時に鍵の音を聞く。 悲しくなる。 どうしてこんな事になってしまったのか、考えながらエレベーターへ足を進めた。 透馬への想いが強過ぎて不思議な力が…?瞬間移動? 下を向いて歩き、ハッとして足を止めた。 エレベーターが私の目の前に来ていた。 エレベーターの扉が鼻の先に付きそう。
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