侵入者

6/19
前へ
/131ページ
次へ
驚いて、透馬の部屋を振り向いて確認したが、全部同じドアで、どのドアから自分が出てきたのか分からなかった。 分からないけどやっぱり、エレベーターとの距離感は不自然だった。 私は瞬間移動が出来るようになったの?テレポート?リープ?ヒュージョン?あれ?ヒュージョンてなんだっけ? 私はエレベーターの扉から一歩離れた。 危なく鼻血出すところだった。 想像すると思いの外、ゾッとした。 吐き気がする程。 「…?」 口に手を当て、吐き気を不思議に思っているとエレベーターの扉が開いて慌てて入り口から退いた。 黒いスーツの男の人が一人、降りて行った。 とりあえず吐き気を忘れて、入れ代わりに私はエレベーターの箱に足を踏み出す。 とにかく警察に行って家に帰してもらおう。 何も考えず、まずはそうしようと決めた。 考えても答えが出ない状況だということは分かった。 このマンションが透馬の家だとすると、此処は東京。 私が住んでいる所まで新幹線で2時間かな?あれ、それは仙台までだっけ? 東京なんて、中学の修学旅行以来! あっディズニーランド行きたい!上野動物園とか東京タワーも。NHKとか、電力館…。 楽しかったな…。何も知らないで、無邪気で…。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加