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「…?」
無邪気って…。今もこの状況で結構無邪気だよ。
まだ不安を誤魔化すことを考えられる。
不安…。足元が目に入る。
なんて心細い状況…靴すら履いていない。着のみ着のまま…ワンピースだけど、パジャマだし。
考え過ぎてボタンを押すのを忘れていると、エレベーターの扉が静かに閉まり、下へ降りる。
エレベーターは少し苦手。動きだす最初の瞬間、ふぁっと足が竦む感覚が…。
しかし、今回それは無かった。
無い代わりなのか、私の体はエレベーターに置いてきぼりをくらった。
私は自分の足が浮くのを見た。
目をギュッと瞑り全身に力を込める。
死ぬ!
私はエレベーター事故で死ぬ!エレベーターってこんな簡単に故障していいの?!東京だから!?
恐怖で私は縮こまった。
(神様っ!)
エレベーターの箱が落ちたと思った。
風に下へ強く押され、跳ばされた感じがした。けれど体には何の衝撃も無く、次に横に引っ張られた。
固く瞑った目の瞼に、黒い流れが素早く横切る。
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