わたしは天才

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『体でっかちな子供』 私はこの間、本屋で 「体でっかち」という 本を見た 「頭でっかち」ではなく 「体でっかち」なのである 興味があったので 中を見てみると 「体でっかち」とは 体ばかりが成長して 中身は大人になりきれていない ちょうど私たちの年頃を 示す言葉なのだという 現代社会の中で 私たちは「体でっかち」な存在なのである 近代以前のヨーロッパでは人々に「子供」という時期がなく 現代社会でいう「子供」は「若い大人」として 大人同様に扱われていた 日本でも同じように 私たちの年頃になると働き 「若い大人」であった時代があるのだ ところが 現代の子供は 子供は子供として扱われ いつ大人になってよいのかもわからないまま 体だけが成長してしまい 気分だけが大人で 中身は子供 という、まさに 「体でっかちな子供」 なのである この、 「体でっかちな子供」は、近代化してゆく家族形成のもとで 「子供」という特別扱いを受け、 年上の仲間もなく つまり年上の仲間から 社会のルールを学ぶこともなく誕生してしまったのである 辞書をひくと 「大人」とは 一人前に成長した人、 とされていた 現代社会では 一人前に成長しなければ 「大人」とは言われないようである ところがその、 一人前に成長する環境が ない現代社会の子供は 「体でっかち」 な存在のまま 「体でっかち」 な大人として成長していくのである
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