第一章

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今からだいたい四百年前。 ある年、ある村に生まれた 双子の少年。 彼らは生まれながらにして 桁外れの魔力を持ち。 また周囲とは異なる魔法を 使うということで 人々は彼らを異端児とみなした。 一般市民の使う魔法を 『通常魔法』と呼ぶのならば 彼らの使う特殊な魔法は 『禁魔法』と呼ばれた。 『禁魔法』 通常魔法に比べ かなりの威力・破壊力を持ち。 その危険性から この世界から追放された魔法。 『白魔法』 『黒魔法』 『時空魔法』 『召喚魔法』 『隠れ魔術』 この五つに分類され、 この魔法の最大の特徴は 詠唱が一切ないことである。 何百年も前に滅びたはずの 『禁魔法』を使う彼らを 人々は恐れ、離れていった。 だけどそんな彼らにも たった一人、友達ができた。 それが『由佳』だった。 『やっと見つけた、二人とも。 もぉ、捜したんだからね』 『…なんで来てんの』 『…そうだよ、由佳。 昨日村の人にいろいろと 言われてたのに』 『いいの、そんなのは! 私は二人と一緒にいたいのっ! それ以外何もいらない』 『……大袈裟…』 『でも……ありがとね』 『ん……』 ―――松尾由佳‐マツオ ユカ‐ 俺たちと同い年で 可愛らしい感じの女の子。 いつも明るく元気で 沈んでる気分の俺らに笑いかけ 元気を与えてくれた。 ―――だけど それは罠だったんだ。 そして俺たちは もののみごとにその罠に はまってしまったんだ。 ………信じてたのに。 忘れもしないあの日、 ついに事件は起こった――― 『どうしてこんな事するの!? 由佳っ!!』 『……ふふっ、ごめんね? 私元々こっちの人間だから』 そう言って 由佳は含み笑いする。 ニヤリ、とひどく歪んだ 悪人の顔。 俺はある場所で縛られていた。 強力な魔法陣に、結界、 由佳によって。 そしてこの時 俺は初めて気付いたんだ。 俺らは罠にはめられたんだって。 騙されてたんだって。 もう何もかも 全てが手遅れなんだって…… 『………っ…』 裏切られたことが悔しくて 俺は由佳を睨みつける。 そんな俺に気付いた由佳は 一瞬戸惑いの表情を浮かべたが それもほんの一瞬で。 すぐに腹黒い笑みに変わる。 クスリ、と 本当に嫌味な笑みに…
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