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―――あの後。
「お前、何があったんだ?」
「お前頭、大丈夫か?」
そう言いたげな
多くの視線を浴びながら
そそくさと家に帰ってきた僕。
「……くそぅ、
明日も学校あって制服いるのに」
なんてブツブツ文句を言いながら
服を洗濯機に放り込み。
僕自身は泥を流すべく
シャワーを浴びて
実にさっぱりした状態で
リビングまでやってきた。
扉を開けてビックリ。
なぜか勝手に冷房が
ついているではありませんか!
残念ながら僕ん家の冷房には
『一人で勝手につく』、
つまり自動で動き出すという
機能は備わっていません。
しかもこの部屋無性に寒い!!
なぜだと不思議に思い
よ―く目を懲らして冷房を見れば
「はっ!?17℃!?」
そんな低い温度で
動いてるではありませんか!
さらに部屋の奥からは
テレビの音。
「…………」
ドッタドタと盛大に足音を立てて
僕は部屋の奥へと足を進める。
徐々に見えてきたのは
一人の男性。
ソファにどっかり座り込み、
偉そうに足を組んで
お菓子片手にテレビを見ている、
そんな一人の男。
彼は僕がやってきたのに気付くと
ゆっくりこちらに振り向き
―――クスッ
人を馬鹿にしたような
実にムカつく笑みを浮かべる。
…いや、実際
馬鹿にしてるんだろうけど!
それから彼はグッと親指を立て
ウインクをして、
そして、先程の一言。
…もう返す言葉もありません。
「お~い、真?
悪かったって、スネんなよ」
「…………」
ブカブカの黒いパーカー、
ダボダボのズボンを着て
ソファの上。
隅の方で体育座りをしてる
僕がいた。
どうにか機嫌を直してもらおうと
裾や袖を引っ張ったりしながら
カナは僕に話し掛けるが。
本気で疲れてブルーな僕は
そんなカナに目も向けないで
一人塞ぎ込んでいた。
ハアァ…
もうさっきから
ため息しか出てこない…。
だいたいなんで
田んぼなんかに落ちんだよ(泣)
ここ田舎じゃないんだよ?
本島の中でも最も大きな帝国で
一番栄えてる商業都市。
だけど近年自然が減ってきたから
自然を増やしていこうって
政府の中で話がついて。
元は荒野だったあの場所に
木を植えるんじゃなくて
田んぼを作ったんだ。
広さにして
僅か三十ヘクタールの範囲。
(縦一キロ×横三百メートル)
何が言いたいかっていうと。
ど―してよりにもよって
あの場所で僕が……
ホント恥ずかしかった…
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