第一章

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―――あの後。 「お前、何があったんだ?」 「お前頭、大丈夫か?」 そう言いたげな 多くの視線を浴びながら そそくさと家に帰ってきた僕。 「……くそぅ、 明日も学校あって制服いるのに」 なんてブツブツ文句を言いながら 服を洗濯機に放り込み。 僕自身は泥を流すべく シャワーを浴びて 実にさっぱりした状態で リビングまでやってきた。 扉を開けてビックリ。 なぜか勝手に冷房が ついているではありませんか! 残念ながら僕ん家の冷房には 『一人で勝手につく』、 つまり自動で動き出すという 機能は備わっていません。 しかもこの部屋無性に寒い!! なぜだと不思議に思い よ―く目を懲らして冷房を見れば 「はっ!?17℃!?」 そんな低い温度で 動いてるではありませんか! さらに部屋の奥からは テレビの音。 「…………」 ドッタドタと盛大に足音を立てて 僕は部屋の奥へと足を進める。 徐々に見えてきたのは 一人の男性。 ソファにどっかり座り込み、 偉そうに足を組んで お菓子片手にテレビを見ている、 そんな一人の男。 彼は僕がやってきたのに気付くと ゆっくりこちらに振り向き ―――クスッ 人を馬鹿にしたような 実にムカつく笑みを浮かべる。 …いや、実際 馬鹿にしてるんだろうけど! それから彼はグッと親指を立て ウインクをして、 そして、先程の一言。 …もう返す言葉もありません。 「お~い、真? 悪かったって、スネんなよ」 「…………」 ブカブカの黒いパーカー、 ダボダボのズボンを着て ソファの上。 隅の方で体育座りをしてる 僕がいた。 どうにか機嫌を直してもらおうと 裾や袖を引っ張ったりしながら カナは僕に話し掛けるが。 本気で疲れてブルーな僕は そんなカナに目も向けないで 一人塞ぎ込んでいた。 ハアァ… もうさっきから ため息しか出てこない…。 だいたいなんで 田んぼなんかに落ちんだよ(泣) ここ田舎じゃないんだよ? 本島の中でも最も大きな帝国で 一番栄えてる商業都市。 だけど近年自然が減ってきたから 自然を増やしていこうって 政府の中で話がついて。 元は荒野だったあの場所に 木を植えるんじゃなくて 田んぼを作ったんだ。 広さにして 僅か三十ヘクタールの範囲。 (縦一キロ×横三百メートル) 何が言いたいかっていうと。 ど―してよりにもよって あの場所で僕が…… ホント恥ずかしかった…
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