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『ネクスト…本命か!』
彼が叫んだ。そうだ、今回のメイン・ターゲットはネクスト・タイプの撃破だ。
ネクストとは、国家解体戦争以前に活躍していたノーマルの発展型のようなものだ。一口に発展型と言っても、その能力は驚異的だ。
新発見された重粒子をフルに活用したネクストは、プライマルアーマーと呼ばれる一種のバリアにより攻撃を無効化或いは減衰し、強力なジェネレータが生み出す膨大な電力は、オーバードブーストやクイックブーストといった、高速機動能力を与えている。国家の軍が30機足らずのネクストに制圧されたのも、従来兵器との性能差を考えれば、頷ける話だ。
それが敵になったのだから、厄介な事この上無い。ここ最近、対ネクスト戦を想定したパーツが各企業で開発・流通されているのも、情勢の変化を考えれば当然だろう。噂に聞く《アナトリアの傭兵》が反体制勢力の英雄を討ち取り、更に水面下でアクアビットと繋がっていたGAヨーロッパに粛清行動を行って以来、企業は対立を深めている。いずれ、大規模な戦争が起こるのだろう。そうなれば、世界はコジマ粒子のマイナス面である、致命的な汚染の被害を受け、多くのコロニーが蹂躙されるだろう…。
『ファイバーフロウ、行くぞ!』
突然、彼から通信が入った。いけない、少々考え事をしていた。考え事は肉体的な疲労が無いからいい。私は普段から色々と考える方なのだが、戦場でもとは…剣呑だったな。
「了解…」
私は軽く返事をし、接近のためオーバードブーストを起動した。ファイバーフロウの背部カバーが展開し、露出したブースタを中心にコジマ粒子が凝縮され、約一秒後にファイバーフロウを押し出した。同じくオーバードブーストを起動したリバードライブと共に、音速に迫る勢いで目標へと接近した。
『…あれだ!』
彼の声を受け、目標を視認した私達はオーバードブーストを切り、銃器を構えた。
目標のネクストは、私達の機体と同じくイクバール系のパーツで構成された人型であり、《キャリオンクロウ》とデータベースには登録されている。同社の精鋭部隊から引き抜かれた実戦派だ。手強い相手に違いない。
『前へ出る!援護頼む!』
出会い頭、彼はクイックブーストを吹かし、キャリオンクロウへと接近する。
彼の愛機リバードライブは、極めて癖の強い物理ブレードを搭載しており、一撃必殺を可能としている。
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