FIBER FLOW

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シリンダー内で爆薬が炸裂し、硬度と鋭利さを兼ね備えた杭が、リバードライブの左ストレートに合わせキャリオンクロウの右腕を抉った。ただでさえ装甲の薄いキャリオンクロウだ。プライマルアーマーなど全く用をなさず、ショットガンを握ったままの右腕は造作もなく弾け飛んだ。 『フッ…』 しかし、シブ・アニル・アンバニの態度は、まるでこの状況を読んでいたかの如く、余裕に溢れていた。キャリオンクロウは右背の三連ロケットランチャーを構えると、ほぼ零距離の状態でリバードライブに重い一撃を加えた。 『がっ!?』 彼の叫びが聞こえた。 軽量級のリバードライブは、ロケット弾三発分の衝撃に耐えきれずに仰け反ってしまった。 一方、その爆風を利用して距離をとったキャリオンクロウは、落ち着いた様子でマシンガンを撃ち込んだ。プライマルアーマーが強引に剥がされ、弾丸が容赦なくリバードライブの黒いボディを傷付けていった。 『いい加減目障りだ。消えろ』 シブ・アニル・アンバニはそう言い放つと、再びロケットランチャーを向けた。被弾時の衝撃か、或いはバランサーの故障か、リバードライブは動く気配を見せなかった。このまま行けば、キャリオンクロウはロケット弾を直撃コースで放ち、彼を倒すだろう。だが…それはまずあり得ない。 『側面だと…ミサイルか!?何っ?!』 シブ・アニル・アンバニの間抜けな叫びがコクピットに響き渡り、私は衝撃に耐えつつ、眼下で仰向けになるキャリオンクロウにファイバーフロウの腕―腕部一体型ショットガン―を突き付けていた。 …すまない、端折り過ぎた。一つ一つ、説明していこう。 私は彼の窮地を救うため…と言うと格好良すぎるかもしれないが、オーバードブーストを起動し、散布型ミサイルを展開した。そして私は加速しつつミサイルを撃ち、キャリオンクロウに側撃を見舞う。奇襲のため、奴に隙が出来た。私はオーバードブーストの加速を維持しつつ、ネクストという、重複合金属の塊をキャリオンクロウにショルダーチャージという形でぶつけたのだ。幸いにも、イクバール製のパーツは単純な構造ゆえに耐久力が高く、接触した肩部が軽くヘコむ程度で済んだ。そして、衝撃で倒れ込んだキャリオンクロウに射線軸を向け、今に至るという訳だ。 「…これがオリジナルだ」 私はショットガンの先端をキャリオンクロウのコアに密着させて言った。
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