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プライマルアーマーの再展開が間に合わないこの状況で、コアに風穴を開けるくらいは簡単に出来る。少しは、奴にも猶予を与えてやってもいいだろう。
『ケッ、オリジナル最弱とまで言われてるクセに…』
シブ・アニル・アンバニは、声を息切らせ答えた。…最後まで、口の減らない奴だ。その最弱にやられるお前は、一体何者だ…?
『…いいよいいよ、サッサと殺せってんだ』
諦めたような、適当な口調の声が聞こえてきた。ふぅん…案外潔い奴だな…。
「言われなくても」
その短い言葉と共に、私はファイバーフロウの両腕から散弾を放った。
―ダンッ
乾いた、独特の銃声と共に、キャリオンクロウのコアに小さい穴が幾つも開いた。
その瞬間、ジェネレータが損傷したのか、キャリオンクロウはコアを中心に爆発し、パーツを四散させた。
―ビーッ
辺り一面で、動く物が私のファイバーフロウと彼のリバードライブだけになった時、無機質なブザー音が鳴り響いた。
『リバードライブ及びファイバーフロウ、作戦目標クリア。バーチャル・シミュレーションを終了します』
続けて、オペレーターの事務的な言葉がスピーカーを通し流れた。すると、ディスプレイに映し出されていた市街区が消え、暗い画面だけが残った。
「うー、ナジェージダ、お疲れさん」
私がコクピットハッチを開けると、スピーカーを通さない、生の声が私の耳に届いた。声のする左側を見ると、愛機と同じく黒いパイロットスーツを纏った、若い男性が居た。
「…お疲れ、K.K」
私は自分の首の付け根あたりから、ケーブルの伸びるプラグを引き抜き、男性―No.17、K.K―に返事をした。
私はコクピットから出ると、AMS(アレゴリー・マニュピレイト・システム)からの解放を体で表現するように、腕を横に大きく伸ばし、深呼吸をした。
「ファイバーフロウも…お疲れ」
私は愛機の方に向き直り、労いの言葉をかけた。この時の私の顔は、多分笑っていただろう…。
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