プロローグ 人生の分岐点なんて意外とあっさり来る。

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現在無職の俺にとって、これは福音以外の何物でもない。 俺はポケットから素早く携帯を取り出すと、すぐに張り紙に記載されている番号へ電話をかけた。 プルルルル……プルルルル…… ガチャッ! 「はい、こちら姫宮トラブル解決事務所です。ご依頼ですか?」 電話に出たのは若い男の声だった。 「あ、いえ俺、張り紙を見まして……。雇ってもらいたいんですが……。」 「あ、そうなの?だったら面接するから事務所来てよ。場所はわかるよね?」 「はい。多分大丈………あっ!」 ここまで話して俺はある事に気付いた。 やべぇ!!さっき履歴書破っちまった!! 「どうかしました?」 「いやですね………履歴書を無くしてしまったようで……。」 とりあえずそう答えたが、俺はかなりあせった。 畜生!何処の世界に履歴書も持たずに面接してくれる雇主がいるんだよ………! 「ああ、そんなもん気にしないから、とりあえず事務所に来て下さい。」 ………いたよ、此処に。 「……はい、わかりました。」 「じゃ、お待ちしてますんで。」 ガチャッ!ツー、ツー、ツー……… 電話を終えた俺は、途方もない不安を感じつつ、張り紙に書かれた地図を頼りに事務所へ向かった……。
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