空の上の君へ

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ひさみが居なくなってから、早いもので三回目の冬がやってきました。 この歳月は言葉では表せないほどに、無味乾燥な日々だった。 あるべきものがそこになくて、やる瀬ない穴ぼこが心の中にぽっかりと開いたまま、ぼくはこの三年間、毎日悲しみの中でおくってきました。 三年経った今でも目をつむると、君と一緒にいた思い出が真っ先に蘇ります。 そして毎日のように君のことを考えています。 寝ぼけながらも、真夜中、時々君のことを探したりしています。 そしてうなされては起きて、君がいないことを知ってまた泣いている。 きっと君は泣いているぼくを見たなら、ブスっとした顔をして、しばらく口をきいてくれなくなるでしょう。 病気のことを打ち明けてくれた時もそうでしたね、 君はぼくに自分は重い病を持っていてもう永くないんだと打ち明けて、自分がいなくなることで、傷つく人を作りたくないんだとぼくを遠ざけたとき、 一番辛いはずの君の前で泣いてしまって君は口を聞いてくれなくなった。 それでもぼくはあきらめなかった、入院した君のもとへ何度も通いました。
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