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「ああ…どうして、あたしはこう運が無いんだろうか……」
平吉は山の中で一人、頭を抱えていた。
平吉は、奥州に店を構える貧乏ちりめん問屋の奥志摩屋の次男で、食い扶持のために家を出されたくちだ。
なのでせめて、自分の食って行ける分はと思い、江戸に居る叔父の下を頼りに奉公先を捜すのだ。
しかし、初めて奥州を出たため勝手がわからずこうして、山の中で迷ってしまった。
周りを見渡すと染み通るような、不気味な暗さの山だ。
木々の間から、火の玉でも飛んで来たら……なんて思うと怖い。
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