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少年が目を開いたその先に見たのは、ぼんやりとした僅かな光を放っている提灯。
雨の浸水を受けたのか、所々腐食している継ぎ接ぎだらけの天井。
視界を右にずらすと開き戸があり、左手には箪笥がある。畳の上に敷かれた布団。そこに少年はいた。
どうやら気を失っていた間に、どこか別の場所に移動されたらしい。
全身には包帯が巻かれている。誰かが運んで傷の手当てをしてくれたのは間違いない。あり難いことに、だ。
暖かい布団の中で、そんなことを思った。
どのくらい気を失っていたのだろう。
感謝の次に疑問を抱く忙しない少年は、布団に横たわったまま状況の判断を冷静にしようとしていた。
今は昼頃だろうか。
向かいの窓からの曙光が少年の顔を照らす。
太陽の輝きを受けても尚、どこか暗さを滲み出している少年には独特の雰囲気があった。
赤髪で、全てを射抜くような鋭い赤眼という印象強い風貌と、年齢に比例しない冷静沈着な性格が排他的な空気を流しているのかもしれない。
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