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満月の月明かりが足元を照らす。空を仰いだ少年は、月に見下されていた。
少年がいた部屋――村の母屋から外――は、十数戸の木造の家が立ち並び、小さな村と成していた。
この村で悪魔と戦えば村に被害が出てしまうかもしれない。
それを避けるための勝算を考えながら、少年は自身の気配を消し去り悪魔の姿を見付けようとしていた。
全身の気を集中させる。
少年がいた母屋の前には鬱蒼と茂る草むらがあり、ほんの僅かではあるが、何かが蠢いていた。
――――いる。
少年は草むらに向かい、刀を両手で握り直し、頭上に掲げて思いきり振り降ろした。
その風圧で刀から真空波が生じ、草むらの上半分が吹っ飛ぶ。
無数の葉がゆっくり地面に向かって舞い降りるのに便乗し、二つの赤い光が少年に向かって飛んで来た。
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