封印

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 姿を表した赤い二つの光は、巨大な蚊の姿をしたギガンモスキートの目玉だった。大きな赤い目玉と羽をしきりに動かし、少年に狙いを定め、突進してくる。  少年はギガンモスキートの狙いが自分になったことを確かめると、ギガンモスキートの攻撃を寸前で避け、全速力で村の外れまで走った。闇の中の疾走。痛みはない。  村が見えなくなった辺りで後ろを振り返り、ギガンモスキートと対峙する。    お互いに間合いを図り、相手の動きの出方を読もうとしていた。  どちらも一歩も動かなかったが、少年が先手を取る。少年は身体を屈め、足に力を入れて地面を蹴りあげた。  ギガンモスキート目がけて刀を一直線に突き出す。びゅっと鈍い音と共に震える周りの空気。あまりの突きの速さにギガンモスキートは身動きができず、黒い刃に捕縛された。  ギガンモスキートは金属同士を擦り付けたような断末魔の鳴き声を発しながら羽を上下に動かしていたが、数秒も掛からない内に制止した。    少年はギガンモスキートが刺さったまま刃を地面に突き刺す。すると、切っ先から黒い煙が立ち込め、ギガンモスキートが燃焼し始めたのである。同時に地面も焼けている。    黒煙が完全に消えた頃はギガンモスキートも消失していた。ただ地面に〝6〟の刻印を残して。   「大地に還るんだな」    少年は6に向かって呟き、刀を鞘に戻してその場を去った。
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