報告

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 ジークと呼ばれた赤髪の少年は、東部の悪魔の情報をデーモンシール本部に持ち帰り、デーモンシール最高責任者のレタインに報告した。  デーモンシールに属する者は討伐結果や情報の報告が義務付けられている。その情報を元に、デーモンシールは今後の作戦を立てるのである。  デーモンシールとは、悪魔封印を生業とする専門機関。国家直属の機関ではあるが、そこに所属する兵士は平民が殆ど。  兵士を二分すれば魔法を駆使する者と武器を使う者に分かれるが、兵士たちの約九割が一般公募で集まった平民だった。    ジークは創設者であり、〝トップ〟であるレタインに剣の腕を買われ、推奨により入団した一割の平民。    戦争時の戦力や国王を含めた要人の護衛を務める聖騎士団にスカウトされたこともあるが、彼は栄転に繋がるこの話を「僕は人のためには死ねない。死ぬなら自分のためと決めている」と豪語し、無碍にしてしまった。    聖騎士団への入団の話を持ち掛けられた当時、ジークはまだ十歳の子どもだったため、城下に呼ばれることの光栄さを知らなかった。とはいえ、十九歳を迎え成人の一歩手前まで成長した今であっても、十歳の時と同じ答えを用意するだろう。
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