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ジークはデーモンシール本部を後にすると、ここアダルレイトにある協会――正式名称はマカラ大聖堂という――に寄った。
この協会では、〝水龍[シードラゴン]〟が神として崇められている。
三百年前の異常気象時に雨が全く降らない状態が二年近く続いたことがあり、その際に出現した水龍が雨をもたらせ、人々に水を与えたという言い伝えがあった。そのため、水龍信仰が盛んでもある。
東部と西部の丁度国境に位置しているアダルレイト。今では繁栄した都市になったものの、昔は貧しい生活を与儀なくされていた。
農耕民族出身の祖父を持つ現在の国王も、西洋社会の弱者から根こそぎ搾取する略奪者的思考にはついていけず、東洋社会の自然の驚異と共存していく感覚を大切にしていた。
四王国の中で、一番穏やかなのもここ東国。
ジークは無神論者であったが、アダルレイトに寄った際は神父の顔を見ていくと決めている。
今日も協会の大扉を叩く。
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