報告

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「ま、いいや……えっと、おかえり」    神父は立ち上がり、微笑んだ。   「ただいま」    ぶっきら棒に答えるジーク。   「サモンベルジュ山脈に行って来たんだって? また派手にやらかしたね」    ジークの身体中の無数の傷跡を見て神父が心配そうに言う。   「こんなのすぐに治りますよ、かすり傷ですから」   「闇死(やみじに)の魔力を自分に還元したら? 意地を張っても自分が死んじゃったら元も子もないでしょ」   「これは自戒です。死んだとしても魔法は使わない」    闇死と呼ばれた黒い刀をギュッと握りしめ、眉を寄せる。眉間の皺が、ある信念を浮かばせているようだ。   「そんなに気を張らないでさ、ボインの子でも見て心を豊かにしていこうよ」   「女は胸じゃなく……」   「性格って言いたいの?」   「……鎖骨」   「深いね。ある意味、うなじよりも」    なんて脳天気な神父のペースに持っていかれてしまうが、神父のくせに人間臭さが漂っているこの人を、ジークは父親のように慕っていた。
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