215人が本棚に入れています
本棚に追加
「暗澹とした面持ちで一体どうした?」
気付くと神父の顔が迫って来ていた。「SMクラブってどんな所なのかなあ、と思って」なんて言えるはずもなく、何でもない、と適当に答える。
「そう? ならいいけど。ささ、ちょっと長かったけど私の書斎へようこそ!」
神父が身体を横にどかすと、木造のドアがそこにあった。
装飾はなく、右方にドアノブが着いている程度の簡素な造り。
おそるおそるドアノブに手を伸ばす。
ドアの先は見たことのない景色が広がり、聞いたことのない声がジークの名前をドアの向こう側から呼んでいた。
そんな非幻想的な妄想をしながら開いたドア。
しかし、ジークを待っていたのは書架と無数の本、本、本。
「何だ、これは……」
思わず口にしてしまうジーク。
「本さ!」
分かり切った返事をする神父に嫌悪感を覚えた。
最初のコメントを投稿しよう!