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「本なのは見れば分かります。そうじゃなくて、僕が言いたいのは……」
「この本が一体何なのか?」
「ええ」
「紙の集合体」
「帰る」
踵を返そうとしたジークを、「冗談だよ!」と慌てて止めて、ドアの前に立ち憚った神父。
「そんなに怒らなくてもいいだろう」
「性質(たち)の悪い冗談に付き合っているほど、俺は暇じゃない」
「もう、すぐ青筋を浮き立てるんだから。一人称が僕から俺に変わっているぞ」
神父に聞こえるようにわざと舌打ちをして、鬼の形相で睨んでやった。いや、般若だったかもしれない。
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