一章

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神崎 将 高校一年生。 将は空が好きだった。 昔 訓練中の戦闘機が学校の上空を飛んでいたのを見て どうせ召集されるなら空がいいと思ったのである。 あの戦闘機は 鳩壱式 平和の象徴である鳩。 きっと平和をもたらすであろうと 作られた。 まだ広島に爆撃はない。 だから 訓練生を集めようと広島は必死だった。 余裕を持って訓練がしたかった。 学生だからとか そんなの気にしていたら負けてしまう。 成績が上位二十名だけ残して 後は召集しようという政策があった。 「見ろ。隼人……烏弐式が飛んでるぞ……かっけぇなぁ……」 「将は空が好きだな。」 「隼人は海だろ?ちゃんと兵隊になったら守ってやるから。」 「日本の海軍を舐めるなよ!」 「こらぁ!何をしておる!持ち場にもどれぇ!!」 「ハッ!!」 二人は息をあわせ敬礼をし急いで持ち場に戻った。 訓練に当てられる戦闘機は鳩壱式。一番大量生産されている戦闘機である。 将は今まで説明だけをうけ今日初めて訓練できる。嬉しくてたまらなかった。 「つぎッ!神崎二等!」 「ハッ!神崎二等、搭乗いたします!」 急いでコクピットに乗り込む。 エンジン異常なし燃料よし…… 「飛べる……」 前を見ると兵士が旗を振っている。 行けのサインだった。 操縦桿を握り締めアクセルを踏んだ。
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