はじまり

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声が聞こえた。       「力をあげる」       力……?       「そう。力」       その声は俺が声を出す前に俺の疑問に答えた。 そして、そのまま続ける。       「未来を見る力と人の心を読める力どっちがいい??」       こいつはアホか? 俺はそう思った。    未来とか人の心が見える…? 漫画じゃあるまいし、そんな事ありえない。       「どっちがいい??」       その声は少し怒っているようにも聞こえた。 そうか…アホとか言ったからか… いや、思った……?    ややこしい。 一言答えてこのやりとりが終わるなら答えてしまおう。    未来…これがあれば便利だよな… テストとか事前に問題とかが分かるわけだろ?    人の心…正直悪趣味だな。あ、けど…誰が俺に惚れてるかとかも分かるのか…悪くはない。    考えた末、俺は軽い気持ちで“未来”と一言だけ答えた。    姿は見えないが、声の主が頷いた気がした。       「では、未来を見る力をあげる。そのかわり、私を守ってもらうわ」       は…? 俺はそんな事聞いてない。 守るだと? そんなめんどくさい事できるか。          「では、目覚めなさい」     目なら覚めてる。 ふざけるなッ!!と叫んでやるつもりだった。 なのに声は出ない。       「明日からよろしく。那由多」       そいつが俺の名前を呼んだ所で俺の意識は途絶えた。
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