佐久間梁一:殺人事件

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赤月市 赤月東曙 2015年12月25日 21時04分 「うっ………くぷっ…………」 青木が口を抑えながら、トイレに駆け込んだ。はぁ……ホトケの姿を思い出すなよ。 俺は自分の席でガイ者の詳細を記した書類に目を通していた。 「大変そぅね!せっかくのクリスマスなのに……」 横から女の声が聞こえたので、ため息をしながらそいつを見る。 そこに居たのは、同僚の村瀬美穂がバックを肩に掛け今から帰ろうとしていた。 「それで…被害者の身元が分かったの?」 「まぁ…ガイ者の名前は今田光平 37歳の会社員で今は赤月市で一人暮らしだそうだ。自宅には保険証等の身元が分かるような物がキッチリとファイリングして在ったらしい……だから財布にはそういった物を必要な時にしか入れないと分かった。ハハハハ……中々用心深い奴だなぁ。周りとの人間関係は至って普通だ…喧嘩している噂はこれといって無いそうだ」 「なのに…どうして殺しちゃたんだろ」 美穂が少し考え込む。今から帰ろうとする奴が犯人の感情を考え込むのを見ると、実に腹立たしく感じてしまう。 「知らねぇよ。そんなの犯人取っ捕まりゃあ判る事だろ?なんせ日本の警察は優秀なんだからな…」 「ほぇえ……大変長らくお待たせいたしました」 青木が窶れた表情でトイレから戻って来た。
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