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「まさか先越されるとは…」
隣で真奈美が呟いた。
真奈美が徹也のグループの慎吾とつきあい始めたおかげで、私たち7人が今こうして集っている。
つき合うとき、徹也は2人の橋渡しをしてくれていたらしい。
10年たった今、2人は別れて良い友達になっていたが、こうして仲良くいられるのも、徹也がうまくやってくれたおかげだった。
「でも徹也が居なくなったら、うちらもどうなるかわかんないね」
そう言って、千春がイッキを始めた徹也を見ながらビールを飲み干した。
全員が集まったのは半年ぶりで、みんなのテンションはスタートから最高潮だった。
「もう遊べないんだったら、私も結婚しようかなぁ」
真奈美はため息をついて、飲めないビールを流し込んだ。
「え、真奈美相手居るの?」
私の問いに、失礼だと言わんばかりに真奈美が答えた。
「これでも会社じゃアイドルなんだから」
「26のアイドルねぇ…あ、すみません、生1つ!」
千春が苦笑いしつつ、横を通った店員に注文すると、かぶせるように徹也の声がした。
「生3つで!…なんだお前ら飲んでねーじゃん、誰がアイドルだってー?」
イッキをしていた徹也は、すでにほろ酔い、ご機嫌な様子で私と千春の間に、無理矢理割ってはいると、腰を下ろした。
私の左肩から太ももまで、徹也の同じ部分と密着して、徹也の体温がじんわりと伝わってきた。
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