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外に出ると、底抜けに明るい空が私を迎えてくれた。
秋も深まる10月半ば、暑さが抜けて、すがすがしいと言わんばかりの青空だった。
1人ランチの後、買い物に行って、夜は学生時代の友達と飲みにいく。
私は頭の中で今日の予定を確認した。
俊二と海外旅行に行こうと思っていた貯金のおかげで、懐は暖かかった。
バックを新調しよう。
お洒落なカフェでランチをした後、私は独りでショッピングを楽しんだ。
さっきのカフェ、きっと俊二は好きだったろうな。
高級ブランドのバックを手にとり、私は後ろにあった鏡を振り返った。
俊二に、派手すぎると言われた黄色のコートに似合うだろうバック。
私はため息をついて店の外へ出る。
時計は五時をさしていて、家路につくスーツ姿のサラリーマンが増えてきた。
友人との約束は7時。
まだ2時間もある。
お金はあるのに買い物する気が起きない私は、人の波に乗って当てもなく歩き出した。
駅に着くと、サラリーマンの姿は更に増え、私は見慣れたスーツ姿が今にも走って現れるんじゃないかと、周りを見渡す。
「んなわけないか…」
そう呟いて、やっぱりさっきのバックを買おうと歩きだしたとき
俊二を見つけた。
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